そう思っていらっしゃる方は多いようですが、実際にはそうではありません。これには主に2つの理由があります。
しかし、理由を考える前に、まず「昼とはなにか」「夜とはなにか」を考えてみましょう。
昼や夜がいつからいつまでなのかというはっきりした定義はありませんが、多くの場合、日の出・日の入が昼と夜の境であると考えます。ここでも、日の出・日の入が昼と夜の境であるとして、昼と夜の長さについて考えてみましょう。
ひとつ目の理由ですが、日の出と日の入の定義を考えてみます。
日の出も日の入も「太陽の上辺が地平線と一致する瞬間」として定義されています。もしも「太陽の『中心』が地平線と一致する瞬間」と定義されていれば、日の出から日の入まで太陽が移動する道のりと、日の入から日の出まで太陽が移動する道のりは、全く同じになります。しかし現在の定義では、日の出から太陽の中心が東の地平線に達するまでと、太陽の中心が西の地平線に達してから日の入まで、昼のほうが、それぞれ太陽の半径分だけ長い道のりを移動しなければなりません。そのために昼の時間が長くなるのです。
もうひとつの理由ですが、地球には大気があるために、地平線近くにある天体は、大気の中を通る光の屈折によって、少し浮き上がって見えるのです。どの程度浮き上がるのかは大気の状態によっても違いますし、地平線に近いほど浮き上がりの大きさは大きいのですが、日の出・入の計算をするときには35分8秒角(時間ではなく角度の単位)浮き上がるとして計算をしています。この効果によって、昼の時間はさらに長くなります。
実際に、2001年の春分の日(3月20日)の東京での日の出・入りを見てみますと、日の出時刻が5時45分、日の入り時刻が17時52分です。この数値から計算すると、昼の長さが12時間7分、夜の長さが11時間53分となり、昼のほうがずいぶん長いことがわかります。
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