盆踊りについて |
■ なぜ盆踊りをするのか |
盆踊りは単なるサマーイベントではなく、お盆にお迎えした祖霊を、慰めて送り出します
本来、盆踊りはお盆にかえってきた祖霊を慰める霊鎮め(たましずめ)の行事です。念仏踊り(自分で念仏を唱えながら踊る)から
踊り念仏(念仏を唱える人と踊る人がいます)に発展した民族芸能が盂蘭盆(うらぼん。いわゆるお盆のこと)と結びつき、精霊を慰めたり送り出すための行事になりました。15日の晩に盆踊りをし、16日に精霊送りをするのもそのためです。
さらに、盆踊りには娯楽的な要素もあります。地域の結びつきを深め、帰省した人々の再会の場や、男女の出会いの場でもありました。盆踊りの歌詞に色恋ものやきわどい内容が多いのはそのためで、人々は年に一度の盆踊りに様々な思いを託しました。
本来、盆踊りの晩(旧暦7月15日)は満月ですから、照明のない時代でも明るく過ごせ、月の引力の影響で人も高揚するため、盆踊りに最適だったのです。 |
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■ どうやって踊ればいいの? |
踊り手が決められている場合もありますが、基本的には誰でも参加できます。やぐらを囲んで輪になって踊る「輪踊り」と、町中を流して踊る「流し踊り」がありますが、大概同じパターンの繰り返しなので、基本を覚えれば大丈夫です。 |
■ ポイントは足! |
ほとんどの盆踊りは、手の動きよりも足の動きを重視しています。これは、足・下半身の跳躍運動が神送りの意味をもつためで、天地の間にいる人間が地を踏むという動作には、霊を封じ込める鎮魂の意味があります。「踊」という字も足偏ですね。ちなみに、神迎えは手を重視した「舞」になります。 |
■ 地方別主なお盆の風習・行事 北海道 |
8月に行われる地域が多いですが、道南の函館や、道東の根室が7月に行われる地域に分類されます。
お墓参りの際、お線香に火をつける時にローソクを使われる方が多いようです。
・北海盆踊り【8月14日頃】
お盆時期に開催される盆踊り。北海道の夏の風物詩の一つ。
二部構成となり一部では、「北海子供盆踊り」と称して子供達の盆踊りとなるようです。
・ローソクもらい
子どもたちが浴衣を着て提灯を持ち、夕方から夜にかけて近所の家々を回って歌を歌い、ローソクやお菓子を貰い歩くハロウィンに似た習わしです。函館や江差などの道南地方や、札幌など家々の密集する地域でとくに顕著にみられます。函館では7月7日、その他の多くの地域では8月7日に行われるようです。
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■ 東北地方 |
秋田県
本荘地域では、7月23日に、子供の成長を願い一人一人がダルマローソクを持ち歩く習慣があります。
岩手県
盛岡ではお盆に白樺の皮を焚きます。白樺の皮はこの時期には朝市や八百屋に並ぶほど、浸透しているようです。また、お墓参りの際にはダルマローソクをいくつもお墓周りに立てたり、灯篭を飾ることもあります。
秋田県
・西馬音内(にしもない)盆踊り【8月16〜18日頃】
雄勝郡羽後町西馬音内で行われる盆踊りで、西馬音内本町通りで行われます。阿波踊り、郡上踊りと合わせて日本三大盆踊りといわれ、毛馬内の盆踊り、一日市の盆踊りと合わせて秋田県三大盆踊りと称されています。重要無形民俗文化財となっています。
・毛馬内の盆踊り【8月21〜23日頃】
鹿角市十和田毛馬内で行われる盆踊りで重要無形民俗文化財となっています。町内路上にかがり火を焚き、その周りに細長い輪となり踊られる情緒豊かで優雅な盆踊りです。
・一日市の盆踊り【8月18〜20日頃】
八郎潟町一日市で行われる盆踊り。死者を弔うために死者の姿に仮装して踊られていましたが、時が経つにつれ「仮装」がクローズアップされるようになりました。現在では浴衣姿のほか、僧侶や力士、花魁、洋装など、様々な姿に仮装した踊り手が通りに溢れているようです。
岩手県
・舟っこ流し
藩政時代から伝わる送り盆行事です。盆の送り火・精霊舟の一種で紙花などで飾られた2〜3mある舟を最後に火をつけて川に流し、故人を供養します。
福島県
・じゃんがら念仏踊り
新盆を迎える家庭を回り、鐘や太鼓でにぎやかに仏様を供養し、その家族を慰めるものとして受け継がれています。いわき市の無形民俗文化財に指定されています。
・百八灯
108本の松明を持った人々が長打の列を作って、夜の道を歩きます。この108という数字は煩悩の数に由来しており、煩悩を燃やし清めるという意味を持つそうです。
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■ 関東甲信越地方 |
新潟県
白と赤の和ローソクを使います。白は普段使い、赤は年忌や命日、お盆などに使う方が多いようです。また、お葬式までは白、出棺後からは赤に変わり、それ以後普段のお仏壇、お墓にも赤の和ローソクを使うようです。
群馬県
お墓参りをしたら最後に提灯に火を灯し、その火を持ち帰りお仏壇に移してお盆の間中保つことでご先祖様とお盆を一緒に過ごすそうです。
おはぎをたくさん作り、近所の方におすそ分けをします。
栃木県
盆棚やお仏壇にそうめん・ワカメ・ほおづきを吊るします。
長野県
天ぷら饅頭を食べます。信州の一部地域に伝わる、お盆料理としては欠かせない一品だそうです。その他に、そうめんやお赤飯などがお盆料理として伝わっています。
かんば焼きと呼ばれる乾燥した白樺の皮(かんば)を門口で焼き、迎え火・送り火とし、煙を目印としてご先祖様の魂が迷わないようにするそうです。
東京都
・佃島盆踊り【7月13〜15日頃】
江戸時代から300年続く中央区の念仏踊りで、都の無形文化財に指定されています。櫓太鼓に合わせ仮設の櫓の周りを踊ります。現在東京に残る数少ない盆踊りの一つで古風で素朴な味わいを残した貴重な踊りです。
栃木県
・百八灯流し
巴波川(うずまがわ)の舟運の安全祈願と108個の煩悩を水に流すための仏教行事。
白装束姿の船頭が御神舟を漕ぎ、舟の端に108本のローソクが灯されます。
108個の煩悩を水に流したり、その108本のローソクは安産のお守りになるといわれています。
長野県
・どんぶや
万灯(まんど)と呼ばれる火をつけた麦わらを振り回す迎え盆の行事です。上伊那郡の辰野町あたりから伊那市にかけて行なわれています。田畑では多くの家が、門口で白樺の木を燃やして仏様を迎えています。
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■ 北陸地方のお盆情報 |
石川県
金沢ではキリコといわれる屋寝つきの灯籠に灯りを灯してお墓参りをします。この時期になるとスーパーでもキリコが売られているそうです。 |
富山県
・おわら風の盆【9月1〜3日】
揃いの浴衣と編笠を使った幻想的で優美な踊りです。東新町、西新町、諏訪町、上新町、鏡町、東町、西町、今町、下新町、天満町と福島を合わせた合計11の町で行われます。
お招霊といわれる迎え火でご先祖様をお迎えします。青年がやっと持ち上げられるくらいの大きな松明を持ち、大きく振り回しながら歩いてご先祖様が迷わず帰ってこられるよう道を明るく照らします。
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■ 東海地方 |
静岡県
お盆に家の門口に砂を盛り上げる『砂盛り』が行われる地域もあるようです。砂盛りは、川砂や田んぼの土、あるいは富士山の宝永噴火のときの降灰が堆積した土を用いて作るのが伝統で、ご先祖様を迎え送る場所であるとも言われています。
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静岡県
・遠州大念仏【7月13〜15日頃】
主に浜松市や近隣の市町で行われている盂蘭盆の慣習であり、浜松市の無形民俗文化財に指定されてます。毎年7月のお盆の夜に初盆の家を回って太鼓や鐘などに合わせて念仏踊りを披露するそうです。
岐阜県
・郡上踊り【7月中旬〜9月上旬】
郡上市などで33夜にわたり踊られます。 日本一長い盆踊りで、会場は一晩に一カ所ずつ、町内あちこちでの縁日祭りにちなんで行われるものだそうです。
三重県
・大念仏
志摩市などで初盆を迎える方の精霊を呼び、念仏を唱え供養する行事です。波切魚市場広場の真ん中で打つ太鼓のリズムに乗って、周囲を亡くなられた方の日用品等を番傘に吊るした「傘ブク」がゆったりと回り故人を偲びます。
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■ 近畿地方 |
滋賀県
線香やローソクを絶やさないように三日三晩使用することも。渦巻き線香、ボーティブキャンドルを使用します。 |
滋賀県
・地蔵盆
先祖の霊と子どもたちが遊ぶことで供養をします。子どもたちは歌を歌ったり鐘を鳴らしたりしながら町を歩き、近所の方々からお菓子をもらいます。スーパーなどでもその時期になると垂れ幕などで大きく宣伝し、お菓子セットなどが売られているそうです。
京都府
・五山の送り火【8月16日頃】
京都府京都市にある如意ヶ岳(大文字山)などで行われるかがり火。宗教・歴史的な背景から「大文字の送り火」と呼ばれることがあります。
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■ 中国地方 |
広島県
新盆には真っ白な灯篭、それ以降の年は赤、青、黄色など、カラフルな色紙を使った灯籠がお墓の周りに多くの地域で飾られています。
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鳥取県
・傘踊り
100個ほどの小鈴をつけ美しく彩った長柄の傘を使い、揃いの浴衣に手甲脚半、白鉢巻に白たすきの凛々しい姿で、唄にあわせて傘を回転させながら振り回す動きの激しい踊りです。全国でも珍しい鳥取県東部に伝わる独自の伝統芸能です。
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■ 四国地方 |
徳島県
お墓には「しきみ」という植物をお供えします。 |
徳島県
・阿波踊り【8月12〜15日頃】
秋田の西馬音内盆踊り、岐阜の群上踊りと合わせ、日本三大盆踊りの一つです。約400年の歴史があり、夏季になると徳島県内各地の市町村で開催されます。その中でも徳島市阿波踊りは国内最大規模で最も有名です。
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■ 九州・沖縄地方 |
長崎県
お墓で夕方から花火を供養としてします。
長崎市では、中華街があることからお線香は竹線香を使用することも。
宮崎県
ご先祖さまの供え物の下に、「しょろごも」と呼ばれる萱の編んだ物を敷きます。ご飯は朝昼夕と三度三度つくり、お膳に私たちが食べるものと同じものを供えます。
沖縄県
6本で一枚となっている黒線香を使うのが主流です。「ウチカビ」と言われる黄色い紙(紙幣)があり、お墓の前で燃やす事によってあの世に送金した事になるとされています。
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主な行事
長崎県
・精霊流し
お盆を迎えた故人の家族が、盆提灯や造花などで飾られた精霊船と呼ばれる船に故人の霊を乗せて、「流し場」と呼ばれる終着点まで運び、供養をする盛大な催しで、各地で行われています。
・チャンココ踊り【8月13〜15日頃】
五島市の9地区に残る念仏踊りです。「チャン」は鉦(かね)の音、「ココ」は太鼓の縁をたたく音といわれています。帷子(かたびら)を着て腰みのを付けた踊り手が円陣をつくり、太鼓をたたきながら踊る様は、南方系の民俗的な踊りを彷彿させます。
沖縄県
・エイサー
祖先の霊を送迎するため、若者たちが歌と囃子に合わせ、踊りながら地区の道を練り歩きます。
・アンガマ
かすりの着物に頬かむりという姿で、各家庭で三線と笛にのせて舞い踊られる素朴さが魅力の盆踊りです。 |
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