ランドセルと制服物語 |
■ ランドセルの由来 |
小学生の通学に欠かせないランドセルは、オランダ語のランセル(ransel)からきています。もともとは兵隊が背負う布製のリュックで、これを通学に取り入れるようになりました。布製から革製になったのは、明治20年、総理大臣だった伊藤博文(いとうひろふみ)が、皇太子殿下が入学するお祝いに特注品を作らせたのが始まりです。それが定着するのは昭和30年代ですが、黒や赤といった定番カラーが主流でした。
今はピンクやブルーなどのカラーバリエーションも増え、形や素材もさまざまになりました。
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■ 制服の由来 |
制服がある学校も多いでしょう。今はブレザーを筆頭にいろいろなデザインの制服がありますが、ひと昔前までは、男子は詰襟(つめえり)の学ラン、女子はセーラー服が定番でした。
学ラン
学ランとセーラー服学生+ランダ=学ラン。ランダは江戸時代に洋服をあらわす言葉でした。1879年に学習院が採用した紺色の詰襟の上着にズボンをはくスタイルが始まりで、そのモデルは海軍士官の制服です。
セーラー服
セーラーとは水兵のこと。イギリス海軍の制服をアレンジして、1921年に福岡女学院で採用されたのが上下に分かれたセーラー服の始まりです。セーラー服の特徴である大きな襟は、海風で音声が聞きとりにくくなるため、襟を立てて集音効果を高めるためのデザインなのだそう。 |
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■ ランドセルの多様化 |
少子化傾向のため各メーカーは多用な製品を開発しています。2005年ごろから半被せランドセルのマチ部分の厚みを薄くした「塾バッグ」と称するランドセルも販売されています。高級な革素材で丈夫で長持ちする丁寧な仕上げ、子供用と大人用の背負い紐を交換して、長く使ってもらおうとするもの、イタリアのデザイナーによる大人のためにデザインされた半被せ型のランドセルなども登場しました。一方、革製でなく、帆布を使ったランドセルも過去に中学校の指定鞄だったものが復刻され、大人のランドセルとして販売されているものもあります。
また一部では指定のランドセルを使わせている小学校もあり、国立・私立では比較的多いです(男女共通の黒や茶色の鞄に校章を箔押しもしくは型押ししたものや、ランドセルとリュックサックの中間的な形の合成繊維製の背負い鞄など。後者の代表的なものに、京都府などで使われている「ランリック(ランリュック)」や、北海道小樽市で使われている「ナップランド」などがある)。また1970年代にいったんランドセルを廃止した自治体(兵庫県西宮市、埼玉県富士見市など)が復活させた例もあります。 |
■ ファッションとしての広がり |
1982年に戸川純は、自らのライブステージに紺色のプリーツの吊りスカートに赤いランドセルという姿で現われ一世を風靡しました。その後1997年ごろに、タレントの篠原ともえが、ランドセルをファッションとして採り入れ、彼女のスタイリングが一部の若者に受け入れられました。その当時は、都内の有名大学でもランドセルで通学する女子大生が出現しました。
アメリカでは女子大生、ロンドンやパリでも若い女性の使用例がある。ヨーロッパでは日本の独自グッズの中でランドセルはかなり人気のあるグッズのようで、素材の質の良さ、丈夫さ、背負ったときのシルエットのかわいらしさなどが理由と推測されます。
インテリアとして、過去に使っていたランドセルを子どもの頃の思い出として残しておきたいとの需要から「ミニランドセル」として小型に再加工するビジネスも存在します。 |
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